花のあと

藤沢周平
藤沢周平という人は、気になっていたのだが、山本周五郎ファンとしては、素直な気持ちになれずに、何冊か買ってはあってもつん読状態であった。
が、このたび、セーラー・マーズ(笑)こと北川景子が、女剣士を演じるということで、とりあえずその作品だけ読んでみた。
というのも、「あずみ」もそうであるが、女性が忍術でも剣でも、がんばっている姿は昔からツボで、若い頃女子プロレスにはまったのも、そんな点からかもしれない。
「あずみ」の上戸彩は、吹き替え無しで殺陣(タテ)を自らやったが、今回も吹き替え無しのようで、そこらへん期待ができる。
さて、肝心の原作であるが、なにしろ藤沢周平を読むのが初めてなので、この作品が彼の作品の中でどのような位置をしめるかも知らないので、藤沢周平ファンには怒られるかもしれないが、読後感はあまりよくなかった。
主人公「以登(いと)」と、思いをよせる「孫四郎」、そして(身分違いのため孫四郎とは結ばれるべくも無い)親の決めた許婚(入り婿)「才助」敵役の「加世」「藤井勘解由」が主だった登場人物であるが、以登と才助の関係が、あまりさわやかでない。才助のキャラ付けの問題なのだろうが、そのせいで以登の才助に対する言動も、いやな感じである。
勿論、後に結婚して、多数子をもうけ、才助も義父以上の出世を遂げるのだから、以登の言動も杓子定規には受取れない、という深みなのかもしれないが(書き忘れたが、年老いた以登が昔話を語るという態の作品である)
クライマックスであるはずの仇討ちも、かなりあっさりしている、というか、この作品の主眼はそこには無いということなのだろうが、物足りない。
あえて言うなら、(理想主義と言われようが)映画では才助(甲本雅裕)のキャラは、朴訥で思いやりがあり、孫四郎に対する思いも含めて、以登のすべて受け入れてくれるようなキャラ付けにして欲しいし、それにより以登の才助に対する感情は原作と違ったものになるはずである。(それにより、さわやかになるのでは、と勝手に思っている)
しかし、他人がこんな事を書いていたら、普段の私なら「作者の書きたいように書いているのに、何を文句つけてるんだ」と批判していたであろうから、今回は本当に勝手な言い草である(汗)
というわけで、これから藤沢周平を読み始めるきっかけにはならなかったようだ。

予告を見たら、なんか私の言っていることとあたらずとも遠からずか。