タルカス クラシック meets ロック(2010)

吉松隆
ご存知、EL&Pの代表作「タルカス」の、フルオーケストラ編曲版である。
吉松隆は、プログレ好きな、クラシックの作曲家ということで、今までの、ロックを理解しない人による、ロックのオーケストラに比べれば、かなりの進歩で、確かに悪くはない。快挙という人の気持ちもわかる。
しかし、原曲のボーカル部分になると、一気に音楽が持たなくなる。
これは、ボーカルありきで作られている場所だから、オーケストラだけだとつらいものがある。
それだけグレッグのボーカルに力があったからだが。
ここは、コーラスでもオペラでも、とにかく「声」を入れるべきではなかったか。
同様に、インプロの部分がかなりはしょられている。
結局、変拍子のけたたましい部分だけがフューチャーされる結果になる。
キースは絶賛したそうだが、キースにしてみれば、グレッグの部分はどうでもいいのかもしれない。
ここらへんが、プログレは好きだが、あくまでクラシックの作曲家である人の、タルカスに対する目の付けどころの限界なのかもしれない。
こうなると、グレッグのボーカルも含めたEL&Pファンとしては、あえてフルオーケストラバージョンを作る必要があったのだろうか・・・・とまで思ってしまう。