R・シュトラウス 「ばらの騎士」

クライバー指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団(1973)
何遍も書いているが、私が初めて「ばらの騎士」に触れたのは、TVで放送された、カルロス・クライバー指揮のバイエルン国立歌劇場盤(1979)で、TV音声を受信できるラジカセでテープにとって、長らくこれのみを聴いてきた。
その後随分経ってから、LDやDVDを買ったり、父クライバー盤を買ったりした。
そして、現在他の指揮者のかなりの種類の音源や映像に接してきて、改めてカルロスの「ばらの騎士」の音楽だけを聴いてみると、当初はわからなかった事がいろいろと分かってきた。
第1幕の途中から「ルヴェ」の直前までの部分のテンポが、父クライバーを含めたどの指揮者よりも早いのである。
管弦楽的な効果や、それでなくても長い第1幕を飽きさせないという意味では、意味があるテンポなのだが、声楽的にみると、管弦楽に乗った、単なる音の跳躍の連続に聞こえてしまうのである。
これは、舞台を見ながらであれば、視覚的な印象が強いためさほど気にならないが、音だけで聴くと、あきらかに良くない。
クライバーはあくまで、舞台を見に来てくれた人向けに指揮をしているのだから、彼にとっての正解のテンポであろうことは理解できるが、彼もこれが音源だけで聴いたらまずいことになる事は知っていたような気がする。
だからこそ、映像2種の発売は許可したが、音源のみの発売は、生前に許可しなかったのではないか・・・・・