漫画版「ニーベルングの指環」

以前書いたように、あずみ椋版、里中満智子版に加え、池田理代子版(監修であるが、絵柄は池田とほぼ同じ)を買ったのであるが、いきなり「ラインの黄金」がはしょられていて、そこで「なんじゃこりゃ」とストップしてしまった。
ネット上でも改変の多さに賛否両論、「ニーベルングの指環」外伝として面白い、という意見があり、まあそういう方向で読めばいいのだろう。
あずみ椋版、里中満智子版は、ともに若干の漫画用の改変はあるが、許容範囲内、より原作に近いのは里中満智子版で、個人的には僅差で里中満智子版をとるが、「ジークフリート」での重要なブリュンヒルデのセリフ
「笑ってあなたを愛しましょう
 笑って盲になりましょう
 笑ってともに墜ちましょう」 
が無いのが惜しい。あずみ椋版はちゃんとある。
ここは、全4部作の「肝」と言う解釈も成り立つセリフで
あきらかに「神々の黄昏」での悲劇を暗示しつつも
それよりも「愛」を取る、というブリュンヒルデの決意表明なのである。
しかし、以前
「身勝手さ、欲深さのゆえに滅び行く神々と人々」という主題を描くために、なんで4晩十数時間も必要なんだろうか
と書いたが(こちら)話がよくわかってくると、ますますその思いは強い。
結局、カルマとその解消なのか?
一応、神々の世界とも、人間界とも無縁なところで、ジークフリートブリュンヒルデの愛が昇華された、という肯定的に見るべきか、あくまで、すべて滅びると見るべきか・・・・やはり、ようわからん。