「ニーベルングの指環」いろいろ

今までフルトヴェングラーワーグナーは「トリスタンとイゾルデ」以外は距離を置いてきたのだが、クナッパーツブッシュやクラウスでだんだん聴きなれてくると、フルトヴェングラーが晩年に残したスタジオ録音の「ワルキューレ」が気になってくる。
「指環全曲」スタジオ録音計画の第1弾として録音されたが、巨匠の死去により、これ1作で終わってしまったものである。これがまあまあお安い。
フルトヴェングラーの「指環全曲」は、あまり音質が良くないライブと放送用録音(共になぜかイタリアのオケ)があるのだが、CD化で音が良くなったとのことで、最晩年の放送用録音が、クラウスまでとはいかないまでもかなりの廉価である。
こうなると、今まで「トリスタンとイゾルデ」全曲と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲ぐらいしか聴いた事のなかったフルトヴェングラーワーグナー管弦楽曲も聴いてみたくなる。
さらに、クナッパーツブッシュが「ワルキューレ」の第1幕のみを、スタジオ録音、それもステレオで残していた、というのも気になってくる。全曲盤を凌駕する出来だという。
というわけで、しばらくは「指環」三昧になりそうだ。
ちなみに、フルトヴェングラーの指環がなぜかイタリアのオケ、と書いたが、最初の1種はドイツ敗戦後、バイロイト音楽祭が再開されるめどがつかない時期に、なんとか「指環全曲」を演奏しようと、なんとミラノ・スカラ座までフルトヴェングラーとドイツ人歌手が出かけて行って演奏した、という経緯がある。
ちなみに、再開したバイロイト音楽祭の初日に演奏されたのが、かの有名な「バイロイトの第九」である。