ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」

ベーム指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1966)
数年前までは「トリスタンとイゾルデ」は、フルトヴェングラークナッパーツブッシュカルロス・クライバー以外に、特に聴きたいと思わなかったのであるが、ここまでいろいろと聴いてくると、世間で名盤扱いであるベームバイロイト盤も聴いておかなければ、という気になってしまった。
話は、若干それるが、クナッパーツブッシュの「愛の死」の単独演奏は現在5種の音源が残っており、その内の3種がソプラノ入りである。そして、そのうちの2種(ひとつは映像)でイゾルデを歌っているのが、このベーム盤のイゾルデのブリギット・ニルソンである。以前、私は「(声が)太いソプラノは苦手である」とか「「愛の死」にソプラノは邪魔だ」等と書いたのは、実はこの時のニルソンに対する印象なのであった。
元々リリック・ソプラノ好きであったせいもあるのだが、ニルソンにはやはり聴かず嫌いの気味があった事は否定できない。
しかし、ここまで来てはそうもいかない、フラグスタート、ヴァルナイ、リゲンツァ、ときたら、ニルソンを聴かないと「画竜点睛を欠く」事になりかねない。
他のメンバーも、ヴィントガッセン、ルードヴィヒ、タルヴェラと豪華盤である。
さて、演奏の方は、鮮烈かつ推進力に富む演奏で、テンポが速いので初めて聴く人にもとっつきやすくわかりやすいであろう。
先日はフルトヴェングラー盤を推したが、音がいいとは言えモノラルである事を考えると、1枚目に買うのにはベーム盤のほうが適しているかもしれない。個人的には若干あざとさから音楽の流れが不自然になっている気がするのではあるが。
やはりニルソンは声が出ているだけのような気がして苦手だ、ビブラートもきついし、でもこれはあくまで好みの話。
タルヴェラはちょっと泣き節が過ぎるか。あとの歌手は、まずます問題ない。