ワーグナー「パルジファル」

ピエール・ブーレーズ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団
パルジファル:ジェイムズ・キング
グルネマンツ:フランツ・クラス
クンドリー:ギネス・ジョーンズ
アンフォルタス:トマス・スチュワート
ティトゥレル:カール・リッダーブッシュ
クリングゾール:ドナルド・マッキンタイヤ
クナ以外の指揮者の「パルジファル」ということで、いろいろ考えたのだが、クーベリックルチア・ポップが花の乙女!)、ケーゲル、クラウスは、賛否両論なので、この際買わない事にした。それよりも、その資金は他のクナッパーツブッシュパルジファルに回したい気分になってしまった(笑)
ということで、こちらはほぼ満場一致で世評の高いブーレーズを聴く。
以前書いた「クナ以外のパルジファルにはドラマとしてのリアリティが無い」と書いていた方も、ブーレーズ盤は別格扱いだった、ということもある。
演奏時間が3時間40分を切る!(ケーゲルはもっと短いそうだが)
テンポは速いが、このテンポの「パルジファル」も何の違和感も無い。
透明感に溢れた、緻密な音づくりで、同じ透明感といっても、レヴァインのスカスカな透明感ではなく、中身がみっちり詰まった透明感である。
その分「パルジファル」の神秘さはばっさり捨てて、美しさに徹した演奏である。
これは「パルジファル」というオペラに親しむために、最初に聴く盤としては自信をもってお勧めできる。
そして「パルジファル」に親しんだら、異次元世界のクナッパーツブッシュ盤へ進んで欲しい。
歌手陣は穴がない。ただ、キングの発音がだらしない(個人的な感想)と、スチュワートが役のキーより高いので若干歌いづらそうなのが気になった程度。