ワーグナー「パルジファル」第3幕

クナッパーツブッシュ指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団(1942)
パルジファル:カール・ハルトマン
クンドリー:エルザ・ラルセン
アンフォルタス:ハンス・ラインマール
グルネマンツ:ルートヴィヒ・ウェーバー


クナッパーツブッシュには、全曲盤以外で「パルジファル」の第1幕への前奏曲が3種ある。(意外と少ない)
1942年(戦時中)のベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団盤、1950年のウィーン・フィル盤、そして1962年のミュンヘン・フィル盤である。
このうち、1942年が放送用録音で、残りの2種がスタジオ録音なのだが、実はその放送用録音は、実は第3幕とセットで演奏されたものだったのだ。それがこの音源である。なので、オペラ上演ではなく、放送用の演奏会形式の演奏。なので、1942年にしては音はかなり良い。
同じオペラでも、バイロイトと他の劇場ではオケの聴こえ方が違うと言うのは今までも経験があるのだが、この放送用録音は、実にオケが生々しく録れていて、一瞬別の曲かと思うほど印象が違う。
なので、クナが実に細部まで気を使って音を構築しているということが実に良くわかる。いちいち、なるほどなあ、と思いながら聴いてしまう。
クナの三種の「パルジファル」の第1幕への前奏曲の中では、1942年盤が一番表情が濃いのだが、同日のこの第3幕もかなりドラマティックな魅力に溢れている。
録音時のテープの切れ目等にわずかな欠落があるものの、クナの各種バイロイト盤にも決して劣らない演奏なので、バイロイト盤しか聴いたことがない人がいたら、是非一聴を乞う。