「シャーロック・ホームズの功績」(1954 翻訳 1972)

アドリアンコナン・ドイル&ジョン・ディクスン・カー
ホームズ・シリーズを久々に読み返した後、こちらも読み返す。随分前に古本屋で幸運にも偶然見つけたもの。ハヤカワ・ポケット・ミステリ版で、現在まで文庫化はされていない。
いわゆる「正典」の中で「ふれられてはいるが、内容が書かれなかった事件」が、実際にどういう事件だったかを明らかにしている短編集で、執筆はドイルの息子でやはり作家だったアドリアンと、天下のディクスン・カー(共作6編アドリアンの単独6編)
「正典」に収録されてもおかしくない出来の作品揃いではあるが、つまりは「正典」の世界を逸脱していない、ということで、地味と言えば地味かもしれないが、読みごたえは充分。
そんな中、ホームズが犯人(?)に同情してしまうほどの、強烈な中年女性の依頼者が登場する「ハイゲイトの奇蹟」や、第2の「まだらの紐」といえる「デプトフォードの恐怖の事件」等、思わずにんまりしてしまう。