アガサ・クリスティの短編について

最近アガサ・クリスティの短編集ばかりをまとめて読んでいたのだが、勿論ファンの方はとっくにご存知と思うが、気がついた事がある。
クリスティ死後に編まれた、いわゆる拾遺集的な「マン島の黄金」の解説にもあるとおり
「スペイン櫃の秘密」は「バグダッド大櫃の謎」を
「クリスマス・プディングの冒険」は「クリスマスの冒険」を
それぞれ短編から中編に書きなおしたものであるが(中編は「クリスマス・プディングの冒険」に収録)
他にも
「死人の鏡」(「死人の鏡」)は「二度目のゴング」(「黄色いアイリス」)を
「謎の盗難事件(「死人の鏡」)は「潜水艦の設計図」 (「教会で死んだ男」)を
やはり、それぞれ短編から中編に書きなおしたものである事がわかってきた。
(海外ウィキペディアによると、短編の中編化は、以上の4作品のみ)
クリスティは、元の短編は捨てたつもりだったかもしれないが、クリスティの書いたものなら何でも出したいのが出版社であり、何でも読みたいのがファンであろうから、こういう事態になっている。
総じて、やはり中編の方が出来がいいが、短編のスピード感も捨てがたい。
「死人の鏡」は、最初短編の水増し感があると思っていたが、人間関係の掘り下げが一段深く、読後の余韻がかなりのものである。
で、ここで「ビッグ4」(こちら)についても調べてみたら、元の短編のタイトルや発表年、発表雑誌まではわかった。が、やはり短編そのままの出版は無いようだ・・・・がっかり。