ヴェルディ「シチリア島の夕べの祈り」

エーリヒ・クライバー指揮、フィレンツェ5月音楽祭管弦楽団(1951)
マリア・カラス
エンツォ・マスケリーニ
ジョルジオ・ココリオス=バルディ
ボリス・クリストフ

カラスのミラノ・スカラ座デビュー直前の同曲音源である。ここで絶賛を浴び、カラスのサクセス・ストーリーが始まった。カラスの「シチリア」唯一盤である。
13世紀におきた、フランス王族の支配するシチリア島でおきた、イタリア住民の暴動と虐殺事件「シチリアの晩祷事件」を題材にとったこの作品も、けっこう聴かず嫌いだったかもしれない。
ヴェルディ作曲当時の、イタリア統一の機運にはぴったりの題材だと思うが、フランスが悪役とも言えるこの題材を、パリ・オペラ座からの依頼で、グランド・オペラ初挑戦の作品としてヴェルディがよく取り上げたものだと思う・・・あ、そうか、フランス革命後だから、フランスの王族が悪役ならOKなんだ。
指揮はなんとエーリヒ・クライバーである!息子はけっこうイタリア・オペラを振っているが、私の知っている限り父クライバーのイタリア・オペラはこれのみのはずだ。他のイタオペと違う何かがあるから父クライバーが降ったんだろうか。グランド・オペラ・スタイルだからかな・・・・
で、肝心の音楽だが、ネット上このオペラはあまり評判がよろしくないのだが、いつも通りの父クライバーの厳しい音作りで一気呵成に聴かせるし、カラス(メキシコの「アイーダ」同様、たぶん楽譜に無いであろう最高音を聴かせてくれる)そしてロシアの名バス、クリストフをはじめ歌手陣も申し分ない。観客も熱狂的である。ただし、音はあまりよろしくない。
ウォルター・レッグのプライベート・テープから起こした、音の良い盤もあるようだが、そちらは前奏曲が無いとか(8分もあるのに)

ちなみに、父クライバー
「1956年5月にスカラ座で、カラスがクンドリーを歌う『パルジファル』を指揮することになっていましたがクライバーがこの年の1月に急逝」
とのこと・・・・!うーん、惜しい!!