ヴェルディ「ドン・カルロ」イタリア語4幕版

シュタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1970)
フランコ・コレッリドン・カルロ
ニコライ・ギャウロフ:フィリッポ2世
エーベルハルト・ヴェヒター:ロドリーゴ
マルッティ・タルヴェラ:大審問官
グンドゥラ・ヤノヴィッツ:エリザベッタ
シャーリー・ヴァーレット:エボリ公女
エディタ・グルベローヴァ:ティボー

ヴェルディ中期の傑作と言われる「ドン・カルロ」も聴かず嫌いだった。カラス25BOXに入っていないので、珍しくヤノヴィッツがイタオペを歌っていて、他の歌手も豪華なシュタイン盤を廉価で購入。
これも、「シチリア島〜」と同じくパリ・オペラ座からの依頼で作曲されたグランド・オペラなので、オリジナルはフランス語だが、現在多く演奏されているのは、改訂されて1幕減らしたイタリア語版。
内容は、シラー原作による16世紀スペイン宮廷を舞台とした政治劇、愛憎劇。
群像劇に近いので、多くの人物が主役級、よって、録音では豪華配役が望めるが、上演には配役に苦労するオペラだとか。
以下、かっこ内は史実の名。
スペインの皇太子ドン・カルロ(カルロス)とフランス王女エリザベッタは一目で恋に落ちるが、エリザベッタはドン・カルロの父フィリッポ(フェリペ)2世の妻となる事が決まった。
ドン・カルロに恋するエボリ公女、ドン・カルロの友人でありながら王命によりドン・カルロの不義を見極めなければならないロドリーゴ、そして当時の新教と旧教の争いがからむ。(王が徹底して旧教なので、皇太子は新教側につくわけ)

さて「運命の力」の時に「横綱相撲」と書いたが、こちらはさらに深みが増していて、後期作品と比してもなんら遜色がない。
歌手陣も豪華と書いたが、例えばギャウロフは、私が知っているのは80年代以降のちょっとヨタった(失礼)歌唱だったのだが、こちらは若々しく、なるほどこれなら名バスと言われるのもわかる、と言う出来。要は生きがいいのだが、上記の歌手全てにおいて「生きのいい」時期の歌唱で、素晴らしいの一言に尽きる。
ウィーン・フィルは極上の響きだし、シュタインの指揮もきりっと引き締まっていて好ましいもので、発掘音源と言う事で若干の音源の傷が惜しいが、隠れた名盤ではないか?
ちなみに上記の歌手のうち、シャーリー・ヴァーレットのみ、名前は知っていても初めて聴いたのだが、こんなに素晴らしい歌手だったとは知らなかった。地声の生かし方が実に好みである。他の録音も聴いてみたい。「カルメン」があるがショルティか〜。
別音源だが、翌年の「ドン・カルロ」のエボリ公女(1971)