レオンカヴァッロ「道化師」

セラフィン指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団(1954)
マリア・カラス
ジュゼッペ・ディ=ステファノ
ティト・ゴッビ
ローランド・パネライ

若い妻に浮気をされて、舞台上で現実との区別がつかなくなり妻を殺す、旅回り一座の座長(道化師)の話。
先日「カヴァレリア・ルスティカーナ」の時、カラスが歌うと別のオペラのようだ、と書いたのは、デル=モナコが歌えばデル=モナコが主役に、カラスが歌えばカラスが主役に聴こえる、ということなのだ。
ディ=ステファノは名歌手だし、ここでも名唱なのだが、この人は「イル・トロヴァトーレ」とか、スピント系の強い声も出せるのだけれど、例えばデル=モナコは「オテロ」は歌うが「椿姫」のアルフレードは歌わない。それと同じく、ディ=ステファノはアルフレードは歌うけど「オテロ」は似合わない。やはり声のキャラとして優男なので、どうしてもカラスが歌うと脇に回ってしまう。でもそれでバランスが取れているのだろう。これがカラスとデル=モナコだったら、ある意味収拾がつかなくなってオフィシャル録音としては成り立たなくなるかもしれない。以前の若き日の二人の「アイーダ」は発掘音源系だから成り立っていたのだ、と言う事がよくわかった。
ちなみに1892年初演時の指揮はトスカニーニである。つまりは、オペラと言っても、思ったほど古いものではないのだ、と実感する。