クレルヴォ交響曲

シベリウス クレルヴォ(クッレルヴォ)交響曲
ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(2000)
リリ・パーシキヴィ:Ms
ライモ・ラウッカ:Br
シベリウスBOXから最初に聴くのはシベリウス20代の最初の大規模作品、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に題材をとった、独唱と合唱付きの交響曲(交響詩という見方もある)「クレルヴォ」である。初演後にシベリウス本人が封印してしまったため(いずれ改訂するつもりだったという説もある)1958年まで幻の大曲(全5楽章、演奏時間約80分)だったとか。

陳腐な表現で申し訳ないが哀愁のメロディにあふれていて、初めてシベリウスの曲を素直に良いと思った。哀愁の一因にはドリア旋法(こちら)等の教会旋法の使用があげられると思うが、もしかしたらフィンランド独特のメロディラインなのかもしれない。

これは、もっと人口に膾炙すべき名曲ではないか?

ヴァンスカの音づくりは、一部では軟弱の声もある。確かに「ここで激しい切り込みでもあれば」等と思う事もあるが、これを軟弱ととるか、透明感あふれた柔らかい音づくりととるかは、聴き手の好みの範疇であろう。