モーツァルト「フィガロの結婚」

ショルティ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1981)
伯爵夫人:キリ・テ・カナワ
スザンナ:ルチア・ポップ
ケルビーノ:フレデリカ・フォン・シュターデ
フィガロ:サミュエル・レイミー
アルマヴィーヴァ伯爵:トーマス・アレン
バルトロ:クルト・モル
ルチア・ポップが歌う「フィガロの結婚」のスタジオ盤のスザンナは、意外な事にこのショルティ盤しかない。
なのでアナログ時代は随分迷った。高かったせいもあるし、当時はけっこう賛否両論だったし、ショルティは嫌いだったし(笑)ロンドンフィルは、きっちりしすぎている印象があったし・・・・。ポップのことだから、この後も、スザンナ役のレコードが出るのでは?と期待していた事もあったし。
なので、CD時代になってからもずっと躊躇してきたが、車で聴く音源にルチア・ポップのスザンナが無いのはなんともつらいものがあった。しかし、さて購入しようかと思った時には絶版だった(汗)
今回ようやく安いユーズドが見つかり購入したところ、届いてみたら邦盤だったのでこれはラッキーであった。
さて、前にも書いたがショルティを聴いていつも思うのが、常にオケの統率が完璧である事。しかし、それが音楽のよさにつながるわけではない。このフィガロも首を傾げざるを得ない表情付けとかがあって、モーツァルトの「音楽」を殺している部分が散見する。歌手の歌い方にも口を出しているようで、せっかくのポップのスザンナが宝の持ち腐れである。そのポップも万全ではないようで、重唱ではポップだけ声が奥に引っ込んだりしている。
ポップのスザンナはベーム日本公演で見聴きするしかないようだ。
他の歌手は、皆名が通っているだけあって(好みは別にとして)概ね合格点。ただ、サミュエル・レイミーはシエピといっしょで「ドン・ジョヴァンニ」タイプなので、フィガロにはどうかな、とは思う。(事実フィガロ役はこれのみ)クルト・モルはバルトロにはもったいないが、やはりいいな。