「吸血鬼カーミラ」(1872)

シェリダン・レ・ファニュ
「吸血鬼カーミラ」の物語に初めて触れたのは、美内すずえの「ガラスの仮面」の劇中劇、姫川亜弓がカーミラを演じる「カーミラの肖像」であった、と言う人はけっこう多いのではないか。
斯くいう私もその一人であったが、たぶん元になる話はあったのだろうな、とは思ってはいた。その後、例の「怪奇幻想小説」のアンソロジーを集めていた時に通販サイトでみつけて、「おお、あるではないか」とユーズドで購入していた。
表題作は中編に近い短編で、文庫としては「レ・ファニュ傑作集」という体裁をとっている。のでとりあえず「吸血鬼カーミラ」を読む。
姫川亜弓の天才的演技力で、キャラが逆転しているカーミラを先に見てしまっているせいか、スリリングながらオーソドックスなホラー小説といった印象。
しかし、実は「ドラキュラ」より前に書かれていて「ドラキュラ」に多大な影響を与えていたと言う事で、ホラー小説史では重要な作品である事は確かであろう。
レ・ファニュはイギリスの作家にしては、名前が???と思ったら、アイルランド人ではないか!ケルトだ!さらに、カーミラは、アイルランドの吸血鬼伝承が元になっているとか。これは残りの作品も期待してしまう。
ちなみにネットでいろいろ調べていて「百合小説」というジャンルがある事を知った(笑)
PS.「ガラスの仮面」の中の「カーミラの肖像」は、場面場面がちらちら出てくるだけで、物足りないといえば物足りない。あの設定でフルの漫画化を望んでしまうのは、私だけだろうか?