「闇の弁慶」と「義経不死伝説」

闇の弁慶(1990)
義経不死伝説(2012)(「義経はどこへ消えた?(1996)」加筆再編集)
中津文彦
「闇の弁慶」は保元の乱平治の乱から打倒平家の源氏の蜂起までの流れを大胆に解釈したもので、「義経不死伝説」の第1部は、その理論的根拠とも言える。
中津さんは実に綿密な考察をする人なので、目に鱗や、なるほどなあ、と思わせることが多くて勉強になる。
例えば、だいたいの歴史の流れは知っていても、清盛の長男重盛の死後、後白河法皇が清盛に無断で(身分からしたら無断でいいのだが)重盛の旧所領を没収した、等という明らかな後白河院の挑発行為は、実は知らなかった(汗)
ちなみに中津文彦は2012年に亡くなっているが、「義経不死伝説」の加筆部分は、彼の絶筆とのことで、これを仕上げて亡くなったということも感慨深い。
PS.「義経不死伝説」では、通常は暗愚と言われる泰衡を、高橋克彦さんとは別観点から擁護してくれているのがうれしい。