中津文彦「義経の征旗」

「義経の征旗(旧題:秀衡の征旗)」(1998)
中津文彦
「政宗の天下」と同様、藤原秀衡が決起していたら、というシミュレーション小説。
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/04/08
新書版の「秀衡の征旗」で一度読んでいるが、文庫の「義経の征旗」が出たときに買って、そのままだったのを、この機会に読み直した。
改めて読むと「藤原秀衡が決起していたら」に加えて「闇の弁慶」で提示された仮説が実現していたら、というシミュレーションでもある。
最初の3分の1(新書版の1巻目)はほぼ史実どおりの展開。次の3分の1で(新書版の2巻目)秀衡が決起して頼朝を滅ぼす。
義経はようやく最後の3分の1(新書版の第3巻)で活躍が始まり、最後は秀衡と共に後白河法王に見事なうっちゃりをくらわせる。

中津さんはこれでもか、というほど義経について書いているが、そのすべてに関連性がある。
この後中津さんは晩年にかけて「さすらい署長」というシリーズを始めるのだが、最後の時代小説として「風の浄土」を書くが、これがまた義経と平泉の話だ


ちなみに、中津さんの義経、もしくは蝦夷関連の作品は以下のとおり。
黄金流砂(江戸川乱歩賞受賞作)
ジンギスカン殺人事件
成吉思汗の鎧
みちのく王朝謀殺事件
闇の弁慶
「義経伝説」空白の殺人
消えた義経
秘刀
義経不死伝説(旧題:義経はどこへ消えた?)
「義経の征旗(旧題:秀衡の征旗)」
「最後の御大将平重衡 義経が最も恐れた男」(旧題:平家慕情)
風の浄土