吉田秀和「私の好きな曲」と ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調
ブダペスト弦楽四重奏団(1961)
ブダペスト弦楽四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲全集を買ったのは、もう5年も前の事になるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2008/05/17
結局、1度ざっと聴いただけで、曲を把握するまではいってなかった。
先日吉田秀和氏の「私の好きな曲」という本を買ったが、その冒頭に紹介されていたのがこの曲である。
文章表現に定評のある吉田秀和氏であるが、


「弦楽四重奏は、音楽の最も精神的な形をとったものである。」


から始まる、弦楽四重奏、その創始者ハイドン、発展者ベートーヴェンを語る数ページは折り紙つきの名文だと思う。

(参考 http://d.hatena.ne.jp/icchan0000/20080316/p3

げんきんなもので、こういう文章で紹介されると、がぜんまた聴きたくなってきてしまう。
幸い、吉田氏の推薦盤もこのブダペスト弦楽四重奏団盤である。
 
この曲はかの第九「合唱付」よりも後の作品で、ここには既に「エリーゼのために」のベートーヴェンも「英雄」「運命」「合唱付」のベートーヴェンもいない。
いい意味で、聴衆を抜きにして「音楽と真正面から向き合った自分」しか存在しないような曲である。
やはり晩年のベートーヴェンも、じっくり聴きこむべきなんだろうな。