フリッチャイの「フィガロの結婚」

モーツァルトフィガロの結婚
フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団(1960)
レナート・カペッキ(フィガロ)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(アルマヴィーヴァ伯爵)
マリア・シュターダー(伯爵夫人)
イルムガルト・ゼーフリート(スザンナ)
ヘルタ・テッパー(ケルビーノ)
イヴァン・サルディ(バルトロ)
リリアン・ベニングセン(マルチェリーナ)
パウル・クーエン(バジリオ)
長らく入手不可で高値がついていたフリッチャイの「フィガロの結婚」が、めでたく廉価で再発されたので入手する。
フィッシャー=ディースカウが気にくわんがしょうがない。
ゼーフリートのスザンナはフルトヴェングラー盤でお馴染み、カペッキのフィガロとシュターダーの伯爵夫人は珍しい配役ではないか?
パウル・クーエンは「ニーベルングの指環」のミーメでお馴染み。
さて、弦のトレモロの強調にちょっとびっくりするが、細かいところまでおろそかにしない、いつもの峻厳なフリッチャイ節だが、その分若干このオペラの愉悦さ、躍動感、流動感に欠けるところが無きにしも非ず。
歌手陣であるが、その珍しいフィガロ、カペッキは、ヴェルディ・バリトンのような声質と、悪達者フィッシャー=ディースカウも真っ青な過剰演技。E・クライバー盤の立派過ぎるシエピのフィガロも違和感があったが、こちらはそれ以上に「フィガロではない」感が凄い。他の歌手もそれにつられたか、ところどころ耳障りなほど演技過剰。
ケルビーノは少年ではなくおばさん。
シュターダーの伯爵夫人は、強烈な個性には欠けるが、声質と音程の安定感が、個人的には今まで聴いた伯爵夫人の中では上位に入る。
いろいろ文句を書いたが、フリッチャイだけとれば、私の「フィガロの結婚」のベスト、ベーム盤2種(1966)(19980 DVD)に次ぐ演奏と言える。