A・E・ヴァン・ヴォクト「宇宙船ビーグル号」

A・E・ヴァン・ヴォクト「宇宙船ビーグル号」(1950)
子供の頃は「宇宙船ビーグル号の冒険」というタイトルで読んだ記憶がある。
一般にはモンスター側からの倒叙的手法が画期的と言われる作品だが、子供の頃印象に残ったのは「情報総合学」という架空の学問、速い話が、様々な科学や化学の結果を総合的に判断するというもので、これは現代でも必要とされるものの見方であろう。
例えば、井沢元彦さんが書いているが、日本の歴史学は、各時代ごとに厳密に分かれているために、日本の歴史の全体の流れを評価する歴史の専門家がいない、という問題があったりするのは、こういう「情報総合学」的な概念が、未だ一般的ではない証拠で、とても残念ではある。
その道の専門家より、それ以外の人の方が俯瞰的判断が下せるのに、専門家は素人意見としてとりあげない、ということは往々にしてある「問題」である。