ヴァン・ヴォクトの短編集

A・E・ヴァン・ヴォクト「時間と空間のかなた」(1952)
1940年代に雑誌に発表された短編による短編集である。
各種報告書の羅列により記述される、ドイツの天才科学者によるナチスへの復讐譚「永遠の秘密」サスペンス満載の宇宙吸血鬼族の地球来襲の物語「避難所」が特に印象深い。

A・E・ヴァン・ヴォクト「終点:大宇宙!」(1952)
「時間と空間のかなた」同様、1940年代に雑誌に発表された短編による短編集である。
「時間と空間のかなた」より作品の出来にむらがなく、まさに「センス・オブ・ワンダー」にあふれた作品揃いで、長編のような破綻が無い分、完成度が高い。
作者本人が「長編より短編が多い」と書いているように、この人の本領は短編で発揮されるのでは?下手に長編を読んで挫折するより、この1冊をお勧めする。
短編で本領発揮と書いたが、邦訳されている実質的な短編集はこの2冊しかないのはいかにももったいない。
ちなみに最後に収録されている「拠点」は、先日の「地球最後の砦」に併録されていた「消されし時を求めて」と同じ作品である(「地球最後の砦」はハヤカワ、「終点:大宇宙!」は創元)