ボロディン 歌劇「イーゴリ公」

ボロディン 歌劇「イーゴリ公
エミール・チャカロフ指揮 ソフィア祝祭管弦楽団(1987)
ボリス・マルティノヴィチ(バリトン
シュテフカ・エヴシュタティエーヴァ(ソプラノ)
カルディ・カルドフ(テノール
ニコラ・ギュゼレフ(バス)
ニコライ・ギャウロフ(バス)
アレクサンドリーナ・ミルチェーヴァ(メゾ・ソプラノ)
ミンチョ・ポポフテノール
ストイル・ゲオルギエフ(バス)
アンヘル・ペトコフ(テノール
エレーナ・シュトヤノーヴァ(ソプラノ)
中世ロシアの叙事詩「イーゴリ軍記」を基にしたオペラだが、ボロディンの死により未完だったところを、リムスキー=コルサコフグラズノフが完成させたもの。
おおざっぱに言うと、ポロヴェツ人(韃靼人)との戦いで捕虜になったイーゴリ公が、脱出するまでの話だが、イーゴリ公の息子と韃靼人の王コンチャークの娘との恋話が絡む。
敵とはいえ、ポロヴェツ人を悪として描かず、コンチャークも男気のある人物としている点が好ましい。
この録音は偶然にも、以前にも紹介した「オペラ名作名演全集」で推薦盤になってた!これはお得。通常省略されるという第3幕を含んだ完全版で3時間半の長尺曲である。
さて、全体的に大変聴きやすく、耳に良くなじむオペラだ。そういった点ではムソルグスキーの上を行く。ムソルグスキーと比べて、素直な心情表現をする作曲家なのだと思う。それがボロディンの長所でもあり欠点でもある。屈折しているムソルグスキーは、それが巨大な個性となっている。そのせいで音楽史的にはやはりムソルグスキーのほうがインパクトがある、という結果になる。
それでも、このオペラはもっと人口に膾炙すべき作品だと思う。