アルバン・ベルク 歌劇「ルル」

アルバン・ベルク 歌劇「ルル」
ブレーズ指揮 パリ・オペラ座管弦楽団(1979)
テレサ・ストラータス:ルル
イヴォン・ミントン:ゲシュヴィッツ令嬢
ハンナ・シュヴァルツ:劇場の衣装係他
トニ・ブランケンハイム:主治医他
ロバート・ティアー:画家他
フランツ・マツーラ:シェーン博士他
ゲアト・ニーンシュテット:猛獣使他

全3幕中、2幕までしか完成していなかったが、ベルクの死後に遺稿を元にエルヴィン・シュタイン、フリードリヒ・チェルハ等の手で完成、その世界初録音がこのブーレーズ盤である。(先日の「ルル組曲」は2幕と3幕の部分から構成されているので、ベルクも3幕をかなり書き進めていたのは確かだ)
ストーリーは、いかにも20世紀らしい、稀代の悪女によるピカレスクロマン(?)であるが、マノンを始めとして、こういうのはあまり好きじゃないなあ。カルメンは単に男が馬鹿なだけだから、そんなにいやな感じはしないのだが。
ストーリーは気に食わないが、音楽は圧倒的である。
ブーレーズの緻密な音作りのせいもあろうが、音と音の関係が、実によく計算されている感がある。これだけの作品であれば、完成するのも大変だったろう。未完成の要因はそんなところにあるのかもしれない。
しかし、「ルル組曲」の時に書いたが

http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/03/18

これは、かなり聴き手に緊張感を強いる。3時間通して聴くのはかなりしんどいかもしれない。(今回は1日1幕づづ聴いた)ルル組曲ぐらいが長さとしてはちょうどいい。
いや、あまり考えす過ぎずに、美しい音楽(価値基準はいろいろあると思うが)として聴いたほうがいいのかな。