ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」

ジョン・ディクスン・カーアラビアンナイトの殺人」
この作品は「赤後家の殺人」の翌年の作品だが(以下「三つの棺」の時の文章に同じ)
3人の警察関係者による同一事件の3方向からの供述という「藪の中」的な構成は意欲的だが、その効果となると疑問だ。
何よりも長めの中編3本分というボリュームで、さすがに長すぎる。
それよりも、以前から彼の作品の登場人物の描き方で気になっていたのだが(カーはイギリス好きのアメリカ人だが)アングロサクソンによる、類型的なスコットランド人、アイルランド人の性格付けで、ケルト好きとしてはどうしても差別的に感じてしまう。