ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」カーター・ディクスン「魔女が笑う夜」

ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」
この作品は「皇帝のかぎ煙草入れ」と「囁く影」の間の作品だが、いつものことながら、タイトルに魅かれて、慌てて購入したために、この順番になった。
劇作家の婚約者が持つ銃が暴発し、著名な病理学者が負傷を負う。病理学者は劇作家に「お前の婚約者は毒殺魔だ」と告げた後、何者かに毒殺される・・・・
そして、物語は二転三転し、もう何が謎なのかもわからなくなるほどに読者を翻弄する。
これもけだし傑作であろう。

 

カーター・ディクスン「魔女が笑う夜」
田舎の村に巻き起こる、匿名の中傷の手紙の騒動が殺人につながってゆく・・・
ネット上では、ミステリー要素が少なく物足りない、との声があるが、村人達の人間模様やヘンリー・メリヴェール卿の絡むドタバタ劇等、それを補って余りある「物語の面白さ」があるので、決して読んで損は無いと思う。また、ヘンリー・メリヴェール卿が自ら自分の妻クレメンタインについて語っているのが興味深い。ヘンリー・メリヴェール卿が登場する作品をすべて読んでいるわけではないが、たぶん彼が妻について語っているのは、この作品だけだと思う。