プロコフィエフ 交響曲第4番(改訂版)歌劇「戦争と平和」 交響曲第7番「青春」

プロコフィエフ 交響曲第4番(改訂版)
コシュラー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1981)
ゲルギエフ指揮 ロンドン交響楽団(2004)
原典版から17年後、交響曲第6番を完成した後に、第4の素材を取捨選択し、選択した素材を徹底的に展開して、より大規模な作品にしたのがこの改訂版で、プロコフィエフは新たに作品番号を振っているので、やはり別曲とみなした方がいいだろう。原典版は軽妙洒脱な小品だが、こちらは堂々たる作品で、6番を書き上げた勢いで書いたことからもわかるように「プロコフィエフ的毒」の「普遍性への昇華」という、プロコフィエフのたどり着いた境地を感じる事ができる。

 

プロコフィエフ 歌劇「戦争と平和
ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽(1991)
アレクサンドル・ゲンガロフ
エレーナ・プロキナ
ゲガム・グリゴリアン
オリガ・ボロディナ
ユーリ・マルーシン
ニコライ・オホトニコフ
ワシーリイ・ゲレロ
イリーナ・ポガチョワ
アレクサンドル・モロゾフ
御存じトルストイ原作作品を、ソ連政府からの文句に苦しみながら作曲を続け、全部で第5稿まで改訂が続いた4時間近い超大作である。(あまりに長いために、短縮版を作った、というのもある)
このゲルギエフ盤は、最終の第5稿を元にしながら、すべての稿の重複分を取り去った部分も加えられている、という情報もある。
交響曲第6番、第4番改訂版の後を受け「プロコフィエフ的毒」の「普遍性への昇華」の集大成的作品。

 

プロコフィエフ 交響曲第7番「青春」
コシュラー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1977)
ゲルギエフ指揮 ロンドン交響楽団(2004)
プロコフィエフを聴いてゆくシリーズも、この最後の交響曲でおしまいになる。
抒情性と躍動感に富んだ音楽だが、社会主義リアリズムの強制に応えた曲ということで、プロコフィエフ的毒のかけらもない、わかりやすい音楽になっているが、聴き応えはある。
ソ連では大成功、政府のおぼえもめでたかったようだが、ここに毒のひとかけらでもあれば、大傑作になったのでは、と惜しい気もする。
ゲルギエフの演奏は、単なるお祭り騒ぎに聴こえ、最後までどんな音楽だかわからない演奏になってしまった。