モンゴメリ「アンの想い出の日々」

モンゴメリ「アンの想い出の日々」
書店で見つけてびっくりした。こんなものが出ていたとは!
解説によると、以前書いた「アンの村の日々」
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2008/05/15
のオリジナル版ということで、「アンの村の日々」は、元の原稿から詩(アンとウォルター作という設定!)作品間に挿まれたブライス家の会話(!)短編1作、そして戦争に対する記述をカットし、作品順序を入れ替えて発売された、との事だった。
全体は第1部と第2部に分かれ、第1部が第一次世界大戦前、そして第2部は第一次世界大戦後から第二次世界大戦勃発後(つまりは「アンの娘リラ」後)という構成なっている。
以前、アン・シリーズが書き続けられたら・・・という考察を行ったことがあり
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20071130/p2
第二次世界大戦勃発時にアン夫妻が生きていて、ケンとリラに男の子が生まれていたら、アンの孫が兵役についていたかもしれないので、その悲しみを味あわせたくないので亡くなっていて欲しい、等と書いたが、何の事はない、こっちが勝手に心配していただけで、シリーズはちゃんと第二次世界大戦まで続いていたのだった(汗)

さて「アンの村の日々」発行の際にカットされた短編「フィールド家の幽霊」であるが、読んでみると、ニュー・モンゴメリ・ブックス「ひそやかに影はささやく」
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20080528/p1
収録の「月影の狂想曲」とほぼ同じ作品であった。
どこが違うかというと「月影の狂想曲」は雑誌発表のまま「フィールド家の幽霊」はモンゴメリが「アンの想い出の日々」に収録するために、アン関連の人物を(本編に影響のない程度に)追加し、若干描写を詳細にしたもの。
以前にも書いたが、モンゴメリは過去に雑誌掲載された短編にアン関連の人物を加えて「アンの友達」「アンをめぐる人々」に収録したり、長編のエピソードに再利用したりしているので、同様の手法であろう。勿論、「アンの想い出の日々」の他の短編も同様なのであるが、改編前と改編後が正式に出版されるパターンは、今回が初めてのかもしれない。
たぶんネット上で「月影の狂想曲」と「フィールド家の幽霊」の関連を指摘したのは私が初めてであろう(えっへん)
この作品が(ウォルターの詩「笛吹き」直後の)冒頭に置かれ、インパクトが強いために他の短編がかすんでしまう、というネット上の意見があるが、「アンの村の日々」発行の際にカットされた理由は、そこらへんかもしれない。