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北村薫「ベッキーさん」シリーズ

ミステリー 歴史

北村薫「街の灯」(2003)
北村薫の「ベッキーさん」シリーズ第1作である。何も知らない頃はシリーズ名からユーモア・ミステリーかしら等と思っていたが、全く違った。
昭和初期、士族のお抱え運転手(当時としては珍しい若き女性)がベッキーさんなのだが、本名は別宮(べつく)みや子。なぜベッキーさんかというと、主人公の士族のお嬢様が彼女に会う直前に目にしたサッカレーの「虚栄の市」の主人公レベッカベッキー)・シャープからの連想で名付けたのだ。そしてこのベッキーさん、めっぽう腕も立つ謎の存在で、それがたぶん、シリーズをひっぱってゆくのだろう。
さて、今までのシリーズから言って、探偵役はベッキーさんになるのだが、表向き謎を解くのはお嬢様、しかし、さりげなくも的確なヒントを与えるのはベッキーさんなので、その時点でベッキーさん自身は既に謎を解いているように見える。なので、真の意味での探偵はやはりベッキーさんなのだろう。
余韻を残す読み応えもいつもの北村節だが、古今の文化についての詳しさも相変わらずで、昨年娘が発表会で弾いたグリーグの「トロルドハウゲンの婚礼の日」
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/03/25
が出て来たので、早速娘にその部分を見せた所「おお!」と感動していた。

 

北村薫「玻璃の天」(2007)
ベッキーさん」シリーズ第2作である。ベッキーさんの正体の判明と、解説にもあるが、なぜ北村薫が昭和初期という舞台を選んだのかが明らかになってくる。
作品的深さが半端ないのも当然で、この作品で直木賞候補となり、次の第3作でとうとう直木賞を受賞してしまうのだ。

 

北村薫「鷺と雪」(2009)
ベッキーさん」シリーズ第3作で、これでシリーズは完結する。
しかしこの結末には驚かされた。まさかのあの実在の事件で幕を閉じるとは。それもお嬢様との恋を予感させたあの彼氏がその渦中に・・・・ネタバレしないように書くのは難しい。