ショスタコーヴィチ 室内交響曲集(編曲:バルシャイ)

ショスタコーヴィチ 室内交響曲集(編曲:バルシャイ
ルドルフ・バルシャイ指揮 ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲をオーケストラ編曲したもので(収録順)第3番、第4番、第1番、第8番、第9番の5曲からの編曲。
最初は、なんでこんな編曲物をBOXに入れたのか、等と思ったし、本当なら元の弦楽四重奏曲を先に聴くべきだとも思った。
しかし、ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲はすべて「プラウダ批判」以後なのだが、交響曲にくらべて大衆の耳に触れる機会が少なかった分、共産党の批判を気にせずに、比較的自由に作曲できていた、という情報を見た。
そうなると、本来は交響曲でやりかたかった事を、弦楽四重奏でやっていた可能性もある。そうなると、そのオーケストラ編曲は、ショスタコーヴィチが本来作曲したかった「幻の交響曲」の一端を垣間見ることができるのでは!?等と思って聴いてみた。
しかし、豈図(あにはか)らんや、本当のオーケストラ編曲は第3番と第4番だけで、あとは弦楽合奏曲で、単に弦楽四重奏の拡大版であった。
その第3番と第4番のオケ版だが、木管の扱い方が絶妙で、これは聴く価値がある。
弦楽拡大版は、このオケの弱さが前面に出てしまっているのが惜しい。しかし両方とも元曲の良さは充分伝わるので、元曲を聴くのが楽しみである。