ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲と室内楽

ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲
ルビオ四重奏団
ざっとした感想を述べる。

弦楽四重奏曲第1番
のびやかな癒しの小品。

弦楽四重奏曲第2番
声部のからみが絶妙で、これは傑作の部類ではないか。

弦楽四重奏曲第3番
5楽章形式の大曲。前半の3楽章は、短いパッセージの積み重ねが印象的なアグレッシヴな音楽。後半2楽章がやはり声部のからみが絶妙で、バルシャイのオーケストラ編曲版があることからもわかるように、これも傑作の部類ではないか。

弦楽四重奏曲第4番
非西欧的というか、厭世観とも違う俗世間から超脱したような不思議な魅力を持っている。

弦楽四重奏曲第5番
全3楽章が切れ目なく演奏される見事な現代音楽。

弦楽四重奏曲第6番
諧謔性が若干あるものの、心に染み入る音楽。

弦楽四重奏曲第7番
実験性あふれる小品

弦楽四重奏曲第8番
静と動の対比が鮮やかな傑作。

弦楽四重奏曲第9番
弦楽四重奏曲第10番
第9番と第10番は同年に作曲され、良く似た内容を持っている。これぞショスタコーヴィチの現代音楽!ともいうべき傑作ではないだろうか。前衛的な分、一般的な人気はいま一つのようだが。

弦楽四重奏曲第11番
7楽章形式の変則的な曲だが、メロディや和声ではなく、曲の組み立て方が前衛的、というか今までに聴いた事の無い珍しいもの。

弦楽四重奏曲第12番
2楽章形式でやはり変則で、こちらは組み立てもメロディも和声も前衛色が強い。

弦楽四重奏曲第13番
アダージョのみの単一楽章からなり、楽器自体を叩いて音を出すなど、さらに前衛色が強まっている。

弦楽四重奏曲第14番
いい意味で前衛性と通俗性が融合を図った(?)曲。

弦楽四重奏曲第15番

こちらも前衛性と通俗性の融合だが、14番は躍動性があったが、こちらは全編通して陰鬱だが不快感は無く、逆に好ましい。
全6楽章すべてに「エレジー」「セレナード」「間奏曲」「ノクターン」「葬送行進曲」「エピローグ」の副題がつき、その分わかりやすく仕上げいる分、ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲の入門としていいかもしれない。

ショスタコーヴィチ
ピアノ五重奏曲 ト短調
エドワード・オウアー(Pf)
ポール・ロザンタール(Vn)
クリスチャン・ボー  (Vn)
マルクス・トンプソン(Va)
ゴットフリート・ホーヘフェーン(Vc)

ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調
エドワード・オウアー(Pf)
ポール・ロザンタール(Vn)
ゴットフリート・ホーヘフェーン(Vc)

共にプラウダ批判後の作品でダイナミックかつ心に染み入る音楽で、ショスタコーヴィチ室内楽入門にいいかもしれない。ショスタコーヴィチはこれで一段落。