フルトヴェングラー戦時中の「トリスタンとイゾルデ」

ワーグナー トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死
フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1942)
先日いずれは聴いてみたいものだ、と書いた
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2014/09/05/040647
1942年BPOの演奏が比較的廉価で入手できた。
若い時期の演奏なので、枯れた魅力のある1952年盤1954年盤よりテンポが速いかと思いきや、むしろテンポは遅い。しかし切り込みは激しくかなり表情は濃い。しかしフルトヴェングラーお得意のテンポの変化は「愛の死」クライマックス前のアッチェレランドぐらいであまり目立たない。なぜかこの曲に関しては、フルトヴェングラーは抑制がよく利いていて、それが普遍的な感動を呼ぶ。人間が達しえる最高の「トリスタン」の演奏の一つである、と言っていいだろう。
なぜ「人間」と書いたか。「神か悪魔か」の境地があったからだ。