マックス・ローレンツ エーリッヒ・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」

ワーグナートリスタンとイゾルデ
エーリッヒ・クライバー指揮  ブエノス・アイレス・テアトロ・コロン管弦楽団(1938)
マックス・ローレンツ:トリスタン
ヒルデ・コネツニ:イゾルデ
カリン・ブランツェル:ブランゲーネ
エマニュエル・リスト:マルケ王
ヘルベルト・ヤンセン:クルヴェナール

1938年なので、音の良さは期待できないが、なんとか聴けるレベル。

前奏曲」とラストの「愛の死」はテンポの変化の無い、かなり遅い演奏。
本編はテンポの変化の多い、緩急の差が激しい演奏。

というスタンスは、1952年盤と基本的に変わらない。
実は「前奏曲」でテンポの変化の無い遅い演奏、というのはフルトヴェングラーを初めてとしてけっこうあるのだが「愛の死」もテンポの変化の無い遅い演奏というのは、極めて珍しい。フルトヴェングラーも少しテンポが上がるし、クナッパーツブッシュでさえもけっこう上がる。子クライバーとの決定的な違いは、実はここだったりする。→3/9 訂正。子クライバーも「愛の死」のテンポは上がらなかった。
ローレンツはさすがに伝説のテノールと言った出来だが、コネツニは弱冠声量が足りない。がんばっているのは好感がもてるが、そもそもワーグナー歌手ではないのに、なぜかイゾルデ役はよくやっていたようだ。子のカルロスはこれにならって、マティスを抜擢したんだろうか。
マルケ王のエマニュエル・リストはライナー盤でも歌っていたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101206/p1
王らしい品の良さが好ましい。