コンヴィチュニーの「ラインの黄金」(と、それに関連した話)

ワーグナーラインの黄金
コンヴィチュニー指揮 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団(1959)
ハンス・ホッター(ヴォータン)
リヒャルト・ホルム(ローゲ)
マルガ・ヘフゲン(エルダ)
オタカール・クラウス(アルベリヒ)
クルト・ベーメ(ファゾルト)
マイケル・ランドン(ファフナー)他
正式録音ではない、ということで音質はまあ発掘音源としての許容範囲。
以前、コンヴィチュニーの「トリスタン~」を

過度な効果を狙わない、楷書のような、その分色気には欠けるが、ある意味「むき出し」の「トリスタン」

と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101229/p3
こちらも同様で、クナッパーツブッシュのような「うねり」には欠けるが、音楽が実に良くわかる骨太の演奏である。何よりテンポ設定に無理が無いので、安心して聴ける。
先日書いたように、ほぼバイロイト歌手であるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2015/03/11
イギリスの歌手もさすがに何人かいる。アルベリヒ役のオタカール・クラウスチェコ出身でイギリスに移住したバリトン。実はクナッパーツブッシュの「神々の黄昏」(1955)バイエルン盤でもアルベリヒをやっていた(オトカール・クラウス表記)
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2011/02/26

コンヴィチュニーの指環を「ラインの黄金」しか聴いていない段階で書くべき事かわからないが、つらつら思うのは、世界初の「指環」のスタジオ録音であるショルティ盤である。
未だに私はこの録音はちゃんと聴いていないし、これからも聴く予定は無い。ニルソンがあまり好きではないし、ショルティも「青ひげ公の城」以外はあまり認めていない。何よりもプロデューサー主導というのが気に喰わない。
当初デッカは、クナッパーツブッシュで「指環」の全曲録音を計画し「ワルキューレ」第1幕まで収録した時点(1957)で、あまりにも演奏に口出しするデッカ側に嫌気がさしてクナッパーツブッシュが降りてしまった、というのは有名な話である。
仮に、コンヴィチュニーが指揮者として抜擢されていたら、きっと文句なしに購入していたであろう。デッカはイギリスの会社だし、コヴェント・ガーデンに呼べるくらいだから、東ドイツの指揮者でも充分可能ではなかったか。ショルティ盤は1958、62,64,65年の録音で、コンヴィチュニー死去が1962年だから、ぎりぎりなんとかなったかもしれない。しかし・・・・プロデューサー主導だと仕上がりがどうなったかは保証できないなあ・・・