サヴァリッシュのワーグナー「ジークフリート」

ワーグナージークフリート
サヴァリッシュ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団(1989)
ジークフリート:ルネ・コロ
ブリュンヒルデ:ヒルデガルト・ベーレンス
さすらい人(ヴォータン):ロバート・ヘイル
ミーメ:ヘルムート・ハンプフ
アルベリヒ:エッケハルト・ヴラシハ
ファフナー:クルト・モル
エルダ:ハンナ・シュヴァルツ
森の小鳥:ジュリー・カウフマン

EMI ワーグナー オペラ・ボックスである。
今までもけっこう速めのテンポだったが、これはさらにハイテンポ。今までも何回か書いているが「ジークフリート」は速めのテンポので振る指揮者が多いのは、最終幕のクライマックスまでは一気に駆け抜けたほうがいい、という事なのだろう。それが証拠に第3幕第3場以降はテンポぐっと落ちてたっぷりと聴かせる。
今まで威厳が無いと書いてきたヴォータンのヘイルは、ここではうってかわって堂々たる歌唱で、なぜ前2作でこういうふうに歌わなかったか、と首をかしげざるを得ない。
さて、問題のベーレンスであるが、やはり無理して歌っている感が否めない。
高い音程は力まないと出ないのでボリュームが上がる。他の部分はボリュームが下がる。なので、無意味なボリュームの上下が続くので音楽の流れが非常に悪い。せっかくサヴァリッシュのオケが流麗に流れているのに、もったいない話である。
他の歌手は間然するところが無い。