「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲について(クナッパーツブッシュを中心に)

今回、ちょっと細かい話になる。
先日、レーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲を絶賛したのだが、ちょっと気になることがあった。
この曲を初めて聴いたのは、クナッパーツブッシュミュンヘン・フィル盤であり、その後もこの演奏をはじめクナッパーツブッシュの演奏を聴くことが多かったのだが・・・

これまでの認識。
1.クナッパーツブッシュミュンヘン・フィル盤だと、3分ぐらいのろころで、それまで弦が繰り返していた「芸術の動機」がドランペットに引き継がれる。
2.それに対して弦が「レードシラーソ#ソ」と応答する。

この2.の部分が切ないフレーズで、個人的にはこの曲の中でのお気に入りの部分の一つなのだが、レーグナー盤では2.があまり前面に出てきていなかった。
気になったので、とにかく家にある「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲のその部分を聴けるだけ聴いてみてびっくりした。(トスカニーニ3種、フルトヴェングラー、ヴァルヴィーゾ、ショルティ、マタチッチ、ティト・・・・)

判明したこと。
1.は、実は金管木管、弦の混合であり、その指揮者のとるバランスによって弦や木管が強く聴こえる場合もある。
ちなみに、トランペットが前面に出てきているのはクナッパーツブッシュとレーグナーのみ。
2.応答としてちゃんと前面に出て聴こえるのはクナッパーツブッシュフルトヴェングラーのみで、他の指揮者は他のフレーズと同じヴォリュームで演奏されているために、特に前面に出てきていなく他のフレーズに溶け込んでいる。

つまりは、私が気に入っている部分は、クナッパーツブッシュ盤でのみ聴けるということになる。

この曲の楽譜を持っていないのでわからないけれど、たぶん楽譜通りに演奏すれば、多数決から言ってクナッパーツブッシュ以外の指揮者が正しいのだろう。しかし、そこをあえてああいう風に演奏させることを思いついたクナッパーツブッシュのセンスは、やはりただならぬものがある、と思い知らされた。