クリュイタンスのベルリオーズ「キリストの幼時:ヘロデ王のアリア」の話

ベルリオーズ「キリストの幼時」第1部の「ヘロデ王のアリア」は切々たる名曲であることは、誰しも認めるところであろう。
私も、初めて聴いたのがクリュイタンス盤であるが、やはり印象に残っていた。
なので、他の演奏を聴くときは、この曲を楽しみに聴き始めるのだが、どの演奏も「あれ?こんな感じだったっけ」と肩透かしを食らっていた。
どういうことかというと、この曲は Gm F E♭ D Cm と1音づつ和音が下降する部分がある。
これは、以前にもワーグナーの「ジークフリート」で触れたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101124/p1
ロックやポップスではお馴染みでも、クラシックではなかなかお目にかかれないコード進行なので、この部分のみちょっとモダンな雰囲気がするのだが、他の指揮者はクラシックっぽくないコード進行が目立たないように、クラシックっぽく聴こえるように演奏しているようで、このコード進行が本来持っている哀愁感が無くなってしまっている。
そこらへん、クリュイタンスのみが(他にもいるのかもしれないが)このコード進行の良さを素直に出しているので、切々たる哀愁感が迫ってくるのだ。
それも含めて、やはりこの演奏を第1に推したい。