クレスパンの ベルリオーズ 歌劇「トロイアの人々」

ベルリオーズ 歌劇「トロイアの人々」短縮盤
ジョルジュ・セバスティアン指揮 ブエノスアイレス・テアトロ・コロン劇場管弦楽団(1964)
レジーヌ・クレスパン(S)
ギュイ・ショーヴェ(T)

全曲を演奏するとCD4枚になるという「トロイアの人々」であるが、クレスパンの歌うライブの短縮盤(2CD)があった。この録音(発掘音源系だろうが)ネット上では全く情報が無い。このオペラのヒロインは、第1部のソプラノのカッサンドラ、第2部のメゾのディド、と二人いる。買う前は、さてクレスパンはどちらをうたっているのだろう。ソプラノだからカッサンドラだろうが、第1部は第2部より短いし、もしかしたらディドかもしれない、などと思っていたのだが、買ってみるとまさかのカッサンドラとディドの2役であった!まさにクレスパンのための配役である。それなら全曲演奏は逆に歌手に負担がかかりすぎるから短縮版で正解であろう。全曲盤の約半分強の長さである。
そしてそのクレスパンの素晴らしい事!今まで聴いてきた「トロイアの人々」のヒロインの中では間違いなくベスト、というか段違い、というか次元が違う。
ギュイ・ショーヴェというテノールを寡聞にして知らなかったが、3オクターブの声域を誇る当時のフランスの人気歌手とのことで、いかに私が今までこの時代のフランスの録音を聴いてこなかったがわかる。
歌劇「トロイアの人々」の全貌を知りたい人には勧められないが、クレスパンの素晴らしさを知ってほしいので、そういう意味では超お勧め。と、言いたいところだが、クレスパンの「トロイアの人々」は、ハイライトながらオフィシャル盤も控えているのだった。