カラヤン ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(1951)

ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー
カラヤン指揮 バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団(1951)

ハンス・ザックス : オットー・エーデルマン
ヴァルター・フォン・シュトルツィング : ハンス・ホップ
エヴァ : エリザベート・シュヴァルツコップ
ファイト・ポーグナー : フリードリヒ・ダールベルク
クンツ・フォーゲルゲザング : エーリヒ・マイクート
コンラート・ナハティガル : ハンス・ベルク
ジクストゥス・ベックメッサー : エーリヒ・クンツ
フリッツ・コートナー : ハインリヒ・プランツル
バルタザール・ツォルン : ヨゼフ・ヤンコ
ウルリッヒ・アイスリンガー : カール・ミコライ
アウグスティン・モーザー : ゲアハルト・シュトルツェ
ヘルマン・オルテル : ハインツ・タンドラー
ハンス・シュワルツ : ハインツ・ポルスト
ハンス・フォルツ : アルノルド・ヴァン・ミル
ダーフィト : ゲルハルト・ウンガー
マグダレーネ : イラ・マラニウク
夜警 : ヴェルナー・ファウルハーバ


以前こんなことを書いたのだが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/12/23/043526
実は、この後クンツがベックメッサーを歌うこのカラヤン盤を入手していた。しかし、その時は宗教音楽サイクルの真っただ中、さらに次はフォーレ・サイクル、ベルリオーズ・サイクルとなってしまい、すっかり聴く機会を失って1年以上たってしまった。
しかし、今回クリュイタンスの「マイスタージンガー」を3種聴いたので、この機会を逃すまい、と聴いてみる。
ちょっと前にクンツの映像を見たのも、シンクロニシティかもしれない。
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2018/02/11/065945
さてこの録音、1951年ということで、なんとなく発掘音源かと思っていたら、まさかのオフィシャル録音。ただし、レコードというものが発明されてしばらくの間、レコードとは、たとえばライブ演奏そのままの「記録」ではなく、完成品の「記録」という意味を持っていた。なので、この録音もこの年の計4回の公演と1回のリハーサルの継ぎ接ぎだそうである。(ところどころ編集点があるが、あまり気にならない)
以前、カラヤン指揮 シュターツカペレ・ドレスデン(1970)を聴いた時「まるでマントヴァーニ」と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/10/17/045336
バイロイト祝祭管弦楽団も見事に(?)マントヴァーニになっている。
かなりオケが前に出ていて、明らかに歌に絡むようにフレーズが強調されているのが新鮮である。(バイロイトはオケの音がひっこんでいるはずだから、オフィシャル用にマイクをピットの中にも立てたか?)ライブならではの躍動感もあり、ドレスデン盤も名演だったが、こちらも負けてない。ただ、オケが大きすぎて歌をかき消してしまっている箇所があるのは残念。
さて、お目当てのクンツであるが、ベックメッサーという喜劇的敵役に必要なすべてを備えているといっても過言ではない。第2幕後半のザックスとの掛け合いでは観客の笑い声が聞こえる。どれだけコミカルな名人芸だったのだろう。映像も残っていて欲しかった。
ザックスが大好きなエーデルマンなのがうれしいが、1952年のクナッパーツブッシュ盤よりさらに出来がいい。
シュワルツコップフルトヴェングラーの「フィデリオ」(1950)
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2012/07/20/043129
同様、後年の強い癖がまだ出ない頃で好ましい。1953年のフィガロではもう癖が出ているので分岐点は1952年頃なんだろうか。その頃の録音は手元にないのでわからないが。
ヴァルターのホップが若干弱いが他の歌手は間然するところが無く、これ以上を望むのは贅沢と言うものかもしれない。
上記のクンツの時にも書いたが、クンツがベックメッサーを演じるもう一つの名盤のライナー盤もいつか聴きたいな・・・
ステレオだとヤノヴィッツエヴァを演じるクーベリック盤も聴きたい。