シベリウス 「大洋の女神」(海の精たち)各種

交響詩 「海の精たち」 作品 73 (イェール版)
管絃楽組曲 (1914) 断章 (「海の精たち」 の前作) 第2楽章 テンポ・モデラート
管絃楽組曲 (1914) 断章 (「海の精たち」 の前作) 第3楽章 アレグロ
交響詩 「海の精たち」 作品 73 (現行版)

ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(2000~2003)

CD表記は「海の精たち」となっているが、通常は「大洋の女神」とされる曲のさまざまな版を収録したCDがあった。
ウィキペディアによると

米国の実業家・慈善事業家のカール・ステッケルがイェール大学教授のホレイショ・パーカーを通じてシベリウスに打診した依嘱作品

とのことで、その時の初演版が上記「イェール版」であるが、そもそもは3楽章形式で構想されたらしく、海外ウィキペディアによるとその第1楽章の楽譜は失われ、第2、3楽章のみが残っており、上記の「管絃楽組曲 (1914) 断章」2曲がそれにあたるようだ。
さて、現行版が約10分、イェール版が約7分半、主要フレーズは共通するものの、ほぼ別曲といっていい。
この曲は、海の波の混沌から時折美しいフレーズが沸き上がってくる構成だが、イェール版は混沌の度合いが深く、沸き上がるフレーズとの落差が大きい。その点現行版の方が自然な仕上がりになっている。
「断章」2曲も現行版にわずかに痕跡が残る程度で、こちらも別曲である。またまた未知のシベリウスを知れて嬉しい。