ヴァンスカの変化

以前、ヴァンスカのクレルヴォ交響曲の新録音について書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2019/10/07/060046
その後、再度ミネソタ管弦楽団とのシベリウス交響曲全集を聴きなおして感じたことを書きそびれていた。
オスモ・ヴァンスカは、2003年からミネソタ管弦楽団音楽監督に就任、2011年に第2番と第5番、2013年に第1番と第4番を録音、その後一時ミネソタ管弦楽団をやめてから復帰後に2015年、第3番、第6番、第7番を録音、2017年にはクレルヴォ交響曲を録音している。
以前の感想を読み直すとわかるが、この復帰前と復帰後ではあきらかに音作りが変化している。
ざっくり言うと、復帰前はラハティ時代の精緻、清澄に抒情性が加わった演奏だったが、復帰後は精緻、清澄を犠牲にしながらも自然なダイナミズムを前面に押し出した演奏になっている。
初めて聞いた頃はミネソタ管弦楽団を一時やめたことを知らなかったので思い至らなかったが、もしかしてこのやめていた期間にヴァンスカの心境に何か変化があったのかもしれない。しかしそのおかげで、上記で私が書いた「大いなる自然体」が完成した。
できれば、このスタイルで、復帰前のシベリウスも録音してほしかった。復帰後が大好きな第3番、第6番、第7番だったのがラッキーだが、第5は再度録音してもらえないものか。
そうなると、これから他のシベリウス管弦楽曲の再録も期待したいところだが。