シベリウス レンミンカイネン組曲の話、あれこれ

昨年末にトスカニーニの「トゥオネラの白鳥」(レンミンカイネン組曲)を聴いてから、レンミンカイネン組曲の聴き比べが始まってしまった。
家にあるのは以下のとおり。
オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団(1978)
サラステ指揮 フィンランド放送交響楽団(1988)
サロネン指揮 ロサンジェルス・フィルハーモニック(1991)
ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団(1996)
サカリ指揮 アイスランド交響楽団(1997)
ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(1999)
デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団(2000)

最も直近で購入したオーマンディ盤は、テンポ設定には無理がないが、楽器バランスやボリュームコントロールに「面白く聴かせる」ための作為が感じられる。しかし、不快というほどではなく、シベリウス初心者にはわかりやすい演奏として勧められる。
無理のない自然流に近い演奏として勧められるのががヤルヴィ盤、そして意外にもデイヴィス盤である。デイヴィスは交響曲は作為的な指揮をするのに、交響詩はけっこう素直でのびやかな演奏をする。しかし、この曲に関しては全体に非常に繊細な演奏で、曲の性格からして繊細過ぎる気もする。しかし、第3曲の「トゥオネラのレンミンカイネン」が実にいい。
この第3曲は、普通に演奏すると音楽が持たないのでは、と錯覚させるような、けっこう指揮者泣かせの曲なので、速いテンポで押し切る指揮者もいれば、それぞれに様々な工夫を凝らす指揮者もいる。しかし、ここはシベリウスの音楽を信じてなるべく素直に演奏してほしい。その点、作為性も無く遅いテンポで押し切ったデイヴィスは好感が持てる。(ヤルヴィは速いテンポで押し切った)

次に、曲順の話
以前にも書いたが、本来の曲順はストーリーに合わせて
「レンミンカイネンと島の乙女たち」
「トゥオネラのレンミンカイネン」
トゥオネラの白鳥
「レンミンカイネンの帰郷」
だったのが、シベリウスは改訂を重ねるうちに「トゥオネラのレンミンカイネン」と「トゥオネラの白鳥」を入れ替えた。そうすると、長い曲と短い曲が交代ででてくるので、全体のバランスはとれる。
しかし、「トゥオネラのレンミンカイネン」の終わったか終わらなないかのような静かなエンディングから「トゥオネラの白鳥」の始まったか始まらないかのような静かなイントロにつながった方が、つながりとしては正解なのではないかと今回気づいた。
ちなみに上記ではサラステ盤、サロネン盤、サカリ盤が最初の曲順で演奏されている。