ヘンデル オラトリオ「イェフタ」

ヘンデル オラトリオ「イェフタ」
ニコラウス・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(1978)
ヴェルナー・ホルヴェーク(T)
トーマス・トマシュケ(Bs)
グレニス・リノス(Ms)
エリザベス・ゲイル(S)
ガブリエーレ・ジーマ(S)
ポール・エスウッド(CT)
モーツァルト少年合唱団 アルノルト・シェーンベルク合唱団

ヘンデルの追加購入シリーズである。オラトリオ「イェフタ」は以前ちらっと書いたように

http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2020/03/25/060022

実質的なヘンデル最後の曲である。(後年書かれた曲は、旧作の改定で、ほとんど新しい要素がないから、とのこと)
題材は旧約聖書の「士師記」のエフタの物語である。
簡単に言うと、イスラエルを勝利させてくれたら、勝利ののちに最初に会った人間をいけにえに捧げる、と誓ったイェフタであるが、その最初に会った人間は自分の一人娘であった。後悔するも後の祭り。聖書では娘はいけにえになってしまうが、オラトリオでは、神が「処女のまま一生神に仕えるように」と、いけにえになる事は許すのでだいぶソフトな結末に置き換わっている。

さて、序曲が非常に悲劇的、というか深刻な感じでびっくりする。ヘンデルは内容が悲劇でも序曲は軽やかだったりするが、これは古典派やロマン派の交響曲にあってもよさそうな雰囲気。
本編に入っても、最晩年のせいか内容のせいか深みを感じる。バロック・オペラ(やオラトリオ)は、歌の技術を示すために内容と無関係の装飾的なフレーズがつきものなのであるが、そういう装飾さえも、その奥に意味を感じさせるような仕上がりになっている。
せっかく深みがあるのだから、悲劇のままにして欲しかった気もするが、まあ時代的に無理だったんだろう。