ショスタコーヴィチ 交響曲第1番

ショスタコーヴィチ  交響曲第1番
トスカニーニ指揮 NBC交響楽団(1944)
ロストロポーヴィチ指揮 ロンドン交響楽団(1993)
バルシャイ指揮 ケルン放送交響楽団(1994)
「現代のモーツァルト」と喧伝され、ショスタコーヴィチが世界に認められるきっかけとなったのがこの交響曲第1番。
勝手に前衛的な絶対音楽を創造していたが、非常に諧謔的というかシニカルな標題音楽のような曲で、当時の資本主義圏でのはやりの「モダニズム」というやつらしい。これが映画音楽とかの今風の音楽につながってゆくのだ、というのは納得。
トスカニーニは速いテンポのお祭り騒ぎ的な演奏、ロストロポーヴィチは起伏の激しいロマン主義的な演奏だが、勢い任せの分細部がおろそかで、正直この二つを聴いた時点ではこの曲の良さ、というか何をやっているのかがわからなかった、。
バルシャイは精緻で絶対音楽的アプローチの演奏で、これでやっとこの曲の面白さがわかってきた。
以前書いたが、今回購入したバルシャイ盤を含むBOXは、それまで出たショスタコーヴィチBOXより地味だ、という評判を鵜呑みにしていたが、バルシャイによる交響曲全集は、人によってはロストロポーヴィチによる全集よりいい、という意見もある名盤であった。これは徳をした。