ピーター・ハミル

さて、もう一人のピーター、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(以下VDGG)のピーター・ハミルである。私の若い頃は、一部熱狂的ファンがいたが、某音楽評論家が自分の好みから無視したために、いまいち知名度は低かったが、今はどうなのだろう。ある海賊盤のライナーノーツにVDGGはロマンティックロックと紹介されていた。日本語のロマンティックは何やら甘ったるいイメージだが、海外では「ローマ的」という本来の意味から派生しているため、日本語にすると「ドラマティック」あたりが妥当か?ピーターの異様な曲作りとボーカルは、そういう表現しか見当たらないかもしれない。つっこみどころ満載ながらも、ファンはそれも含めていとおしく感じてしまう。
いづれ詳しく紹介する日も来ると思うが、興味をもった人のために初めて聴くためのVDGGの紹介。いきなり「ヴァイタル」はどうだろう。
これは3枚目途中でベーシストが脱退したため、ヴォーカル、キーボート、サックス、ドラムという編成で長年やってきた彼らが、一転して、復帰したベース、ヴォーカル&ギター(ピーター)ドラム、ヴァイオリン、チェロ、(ゲストに脱退したサックス)という編成であり、この直後に解散してしまうため、彼らの中では特異な編成であり、かなりヘビメタの要素が入っているため、本来の彼らをよく知るための1枚目のアルバムとしては、適していないかもしれない。
しかし、ピーターのヴォーカルの魅力が爆発しているし、崩壊寸前のアグレッシブな演奏もすばらしい。もしこれを聴いてダメという人も、他のすばらしいアルバムがあるのであきらめないで。