オーケストラの第一バイオリンと第二バイオリンの位置

現在のオーケストラの編成、配置は19世紀のロマン派時代にそれまでの形から徐々に巨大化していったものである。貴族達の音楽から庶民の音楽へ、それに伴い劇場の巨大化、よってより大きな音、そして統御がしやすい配置へ。一番の大きな違いは第一バイオリンと第二バイオリンの位置だ。古典派の時代は、第一バイオリンと第二バイオリンは指揮者をはさんでちょうど左右の端に位置していた。現在は左端に並んでいる。
現在の人数では、この方が指揮するほうも演奏する方も統御しやすいらしい。ただ、古典派以前の作曲家は当然その当時のオーケストラ配置を考慮して作曲していたはずである。ベートーベンの作品など今の大編成の演奏になれた耳だと小編成は迫力がないかもしれない。しかしベートーベンの交響曲など、この配置を意識して第一バイオリンと第二バイオリンがフレーズを掛け合う部分が多く出てくる。そんなところはやはりバイオリンが左右に分かれていないと作曲者であるベートーベンの意図が死んでしまうような気がする。小編成のベートーベン演奏が何種類でているか今の私は定かにしらないが、手元にはホグウッドの第九がある。この演奏でやっと掛け合いの感じを耳にすることが出来た。プラス第3楽章。ベートーベンのテンポ指定が早すぎる。あきらかにおかしいと決め付けてテンポ指定よりゆっくり演奏するのが常識となっているが、ここではベートーベンの指定どおり速いテンポで演奏している。しかし小編成で演奏するとそんなに変には聴こえないのだ。かえって颯爽としていい感じである。楽譜はやはり作曲者の意図を私心なく解釈するべきではないだろうか?