追悼 カルロス・クライバー

カルロス・クライバーが亡くなったそうだ。これでとうとうクラシックも一つの時代が終わってしまった。最後のカリスマ指揮者だった。反面、今まで少なかったソフトが発売されるかもしれないので期待してしまう。複雑な心境だ。詳しくは帰宅後。

たぶん日本で放送されたのは1980年頃だったと思うが、「ばらの騎士」(1979年収録)によって、映像としてクライバーを知った人は私一人ではあるまい。そして心を奪われた人も。
最初は「なんだこの音楽のみずみずしさは!」次に「なんだこの指揮ぶりは!」腕をしなやかに、またはぶんぶん振り回し!(腕がふとい!)彼の演奏を聴くと、現役のどんな指揮者も百凡に感じられたほどだ。「音楽がたった今生まれたかのような」なんて赤面の表現が、実際に当てはまる人がいたのである(往年のフルトベングラーやクナは当然として)
しかし極端に演奏回数や曲の種類が少ない。偏屈との話もある。でもいつかおちついて、いろいろな曲を(例えばお父さんのおはこの「フィガロ」とか)振ってくれればいいなあと、漠然と待っていたのである。なぜかクライバーはいつまでも若いと勝手に思い込んでいた。ところがもう74歳だったなんて・・・
NHKよ!「ラ・ボエーム」日本公演を追悼版として発売しなさい!命令です!

追悼のつもりで、家にあるクライバーをいろいろ聴いてみる。「ばらの騎士」は94年のほうがルックスが良いという意見をサイトで読んで「え?」と思ったので久しぶりに見てみる。なるほどと思ったのが主役三人がスタイルが良いということ。顔が小さく首が長くすらっとして顔立ちが端正である。これはもう時代の好みであろう。もはや私は古い人間になってしまったということか。クライバーの指揮ぶりは、溌剌さはさすがに79年に比べ衰えたが、美しさはこちらに軍配があがるかも、録音の新しさ、オケの差もあるだろうが。でも79年のインパクトはすごかったから、やはり私は79年をとりたい。94年は画面を見ずにCD代りに、と言ったら怒られるか。