ブルックナー 交響曲第3番

クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1964)
クラシックを再び聴き始めて、予想していた事だがやはりブルックナーを聞き始める。ブルックナーを聞き始めると容易に抜け出せないので、聴かないようにしていたのだが・・・しょうがない。
クナッパーツブッシュで交響曲第3の1964年のライブ(ミュンヘン・フィル)がある。ずいぶん以前にクナの名で買ったが、当時はクラシックモードではなかったので、今まで聴いていなかったのだ。クナの第3はウィーン・フィルとの1954年のスタジオがあり、改訂版使用(ブルックナーの版については話すと長くなるので、今日は省略)ながらも、この曲の定番として長らく位置付けられていた。
そしてこの最晩年の録音である。こちらはまたなんとスケールの大きな演奏であろうか。まるでこの曲が第8のような大曲であるかのように振っている。そしてこれが許されるのはクナぐらいであろう。ブルックナーは基本的にはインテンポで演奏されるべきだ。テンポを動かすと彼独特の造形美を大きくそこなうのである。(フルトヴェングラー等)つまり、そこなわなければ、テンポを動かして良いわけで、それが出来る指揮者は数少ない。その数少ない指揮者の頂点に立つのがクナであろう。54年は彼にしては珍しく早めのインテンポでこの曲を振り、それもすばらしかったが、64年ではもう人間技とは思えない、神か?悪魔か?の世界へ行ってしまっている。私は本来この曲は、ブルックナー中期の曲であり、まだまだ後期に比べてスケールや深みに乏しいと思っていた(好きな曲なのですよ)だから、あんまりもったりやられるとこの曲の魅力が逆に半減すると思っていた。だから早めの演奏を好んでいたが、この演奏を聴くと、意見を改めねばなるまい(ただし、クナしか出来ないと思うが)また第3の愛聴盤が増えた事を喜ぼう。(音は多少悪いです)