朱里エイコ

昨日は車で30分ほどの隣町のショッピングセンターへ行った。江戸川乱歩全集最新刊を入手するためである。どこの地方都市でも一緒だと思うが、本屋、CD屋は、ありきたりの物しか置かなくなるか、つぶれるかのどっちかになってしまった。なので、わざわざ隣町へ行かねばならぬ。そこは書店のよこに、ここらへんで初のタワーレコードが数年前に入った。期待せずに、朱里エイコのコーナーを見たら、アマゾンで入手不可の「パーティ」がなんとあったのだ。通販なら、あっさり買えるが、手元の金で買うのは勇気がいる。自分勝手なものだ。
さて、「パーティ」であるが、全作曲冨田勲で、ある女性の一晩の物語のコンセプトアルバム(1973年)である。ヒロインがパーティへ彼氏と出かける前から、帰ってくるまでの話で、パーティの最中、彼氏にほっとかれている間に、過去の不倫相手(相手が妻子もち)に偶然であったりするドラマがある。冨田勲は、本来クラシックの、それも器楽曲の作曲家タイプであると思う。つまりフレーズが、人が歌うにはかなり難しいのである。なつかしいリボンの騎士ジャングル大帝を聴いてみると、よく分かる。それを朱里エイコは、みごとに歌いこなし、さらに自分の持ち味も失っていない。(そういえば、弘田三枝子も、ジャングル大帝「レオの歌」を歌いこなしていた)このアルバムは、曲の合い間に狂言回しとして短い断片的な曲がはいる。すべて男性ボーカルであるが、CDの解説によると当時のパーソネルが不明で、彼も当時のフォーク歌手であろう、ということだったが、私には南佳孝に聴こえる。1973年ならぎりぎりデビューしていたはずだ。どうなのだろう?
某女史が気にしていた「ディープ・パープルはどこ」という曲であるが、酔って「わたしは踊るの!」というヒロイン、曲はワルツに、私は若いのよ、もっと踊れる曲をかけて!「ディープ・パープルはどこ」、そして曲調はロック調(?)に、といった内容。よりによって、なんでディープ・パープル?、だが当時はライブインジャパン発売後で人気絶頂だったからなあ。で、ロック調になったら、ディープ・パープルっぽい感じになるのかと思ったら、全然そんなところは無く(ハモンドオルガン使用がその片鱗?)きっと製作者側もディープパープルは名前だけで使用した可能性大。ここだけちょっとがっかり。ただし、このCD、意欲作ではあるが、万人にはすすめない。万人になら「北国行き」の入ったベストであろう。