「英雄」(コレギウム・アウレウム等)

ベートーヴェン交響曲第3番「英雄(エロイカ)」を、もっているCDすべて聴きなおしている。結婚し、子供も出来るとなかなかこんなことも出来なくなった。多分、第9より好きであろうこの曲は、ベスト盤をあげるのがむずかしい。フルトヴェングラーの通称「ウラニア」は、たぶん音が良ければベストにあげるのだろうが、いかんせん1944年のライブ録音で、けっこう細部が潰れてしまっているのが惜しい。1952年のスタジオ盤が、一般にフルトヴェングラーの定番といわれているが、スタジオ盤のせいでもなかろうが、どこかぎくしゃくした印象を受ける。
で、ステレオ録音以後だが、意外かもしれないが、コレギウム・アウレウムの古楽器オーケストラが自分の中でベストかもしれない。なによりも、テンポがよい。早すぎず、遅すぎず、この曲を楽しめる丁度いいテンポである。古楽器オーケストラなので、弦の人数が少なく、管楽器がより大きく聞こえ、また古楽器独特の響きもあって、新鮮である。また、4楽章でフガートになってからの、あるフレーズ(今は手元に楽譜が無いのでブルックナーの解説のように小節を指摘できないが)を、切なく弾くのは、この録音だけでこれだけでもこの演奏は忘れられない。(追記:159~163小節の第一ヴァイオリン)